東京2020オリンピックについて
廃棄物を活用した大会は、レガシーとして引き継がれていく
環境面で画期的となったオリンピック
先日、東京2020オリンピックが閉幕しました。数々の熱戦が繰り広げられ多くの日本人が活躍し、日本は金メダルが27、銀メダルが14、銅メダルが17、合計58と史上最多となるメダルを獲得しました。実は今回のオリンピックは、環境面においても史上初となる取組みで注目を集めました。それは、大会で使われる備品などを、様々な廃棄物を再利用して作るという取組みです。オリンピックのメダルもその一つで、大会組織委員会は、2017年から2019年までの2年間「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」と題したプロジェクトを展開しました。それは、使われなくなった携帯電話やドライヤー、アイロンなどの家電を回収し、金属を抽出してメダルを作るという内容のものでした。
眠れる資源「都市鉱山」の可能性
様々な場所に回収BOXを設置し、不要な電気製品集め、見事オリンピック・パラリンピックの表彰式に必要な金・銀・銅あわせて約5000個のメダルに必要な金属量を100%回収することができました。これはオリンピック・パラリンピック史上初の試みです。日本に眠る「都市鉱山」(使用済製品などに含まれる有用資源)をキーワードにして活動が行われました。都市鉱山の埋蔵量は世界の天然鉱山を凌ぐといわれており、リサイクル金属をメダル製作に活用することは持続可能なオリンピックを行っていく上で画期的な取組みだと言えます。
ほかにもある、再利用でできたオリンピック備品
また、メダルの授与式で使用する表彰台にも、大会史上初となる使用済みプラスチックが材料として使われていました。今回、日本全国の店舗や学校などを通じて集まったプラスチックはおよそ24.5トン。製造においては、3Dプリンターが活用され、リサイクルプラスチックでパーツを量産するという日本の高い技術が取り入れられました。組織委員会の橋本会長はこの表彰台について「持続可能な社会をつくり上げるための、象徴的な取り組みのひとつとなった」と述べています。また、表彰台他、今回のオリンピック、パラリンピックのロゴをデザインした野老(ところ)朝雄氏は「本来ならばごみとなってしまうモノが素材の研究や現代の高い技術によって、人が乗っても耐えられる表彰台になったというのは、まさに様々な方とのつながりの証であり、努力の結果だと思う」と述べています。国際的なイベントで再利用資源が大規模実用化されたとして、東京2020オリンピックはエポックメイキングな出来事です。これを機会に、廃棄物の問題に対する国民の意識も高まるでしょう。また、持続可能なオリンピックを目指し、この活動がレガシーとして開催諸国で引き継がれていくことに、大いに期待がもたれています。