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曲がり角に立つクルマのマルチマテリアル化(2)モビリティサービスの普及が新たな推進力に

テクノロジー環境資源

クルマのマルチマテリアル化の最新動向を2回に分けて紹介する。第1回では、クルマの電動化の進展に伴うコスト削減要求の高まりや、リサイクル性の重視などでマルチマテリアル化が停滞している現状について紹介した。第2回は、軽量化に代わるマルチマテリアル化の推進力として、モビリティサービスという新たな潮流の可能性を考える。

最近のクルマのトレンドを象徴するキーワードとして「CASE」がある。C(Connected)、A(Autonomous)、S(Shared & Services)、E(Electirc)の頭文字を組み合わせた言葉だが、これらのトレンドはばらばらに進んでいるのではなく、同時並行的に起きている。例えばA、つまり自動運転を実現するにはCのコネクテッド技術が不可欠だし、自動運転は車両の応答を高速化できるE、つまり電動化と相性がいい。そして、Sのシェアリングでは、コネクテッド技術を利用して物理的なキーの受け渡しをしなくてもスマホで施錠や解錠、エンジン始動ができるようなサービスが既に実用化されている。

CASEを組み合わせた究極の次世代モビリティと目されているのが、いわゆるロボットタクシーあるいは自動運転タクシーである。これは北米のライドシェアリングサービス大手のウーバー(Uber Technologies)が提供しているような移動サービスを自動運転車で実現するというもので、人間のドライバーが不要な分、運行コストを大幅に下げられる可能性がある点が注目されている。世界の大手完成車メーカーだけでなく、巨大なIT企業やベンチャー企業、さらには部品メーカーまで入り乱れて主導権争いが活発化している。

トヨタのサービス専用車両がきっかけに

こうしたロボットタクシーの開発が活発化したきっかけは、2018年1月に開催された世界最大規模のエレクトロニクス関連の展示会「CES 2018」にトヨタ自動車がモビリティサービス専用の自動運転EVのコンセプト車「e-Pallete Concept」を出展したことだ。この車両は低床・箱型デザインで広い室内を実現したモビリティサービス専用車両で、人の移動だけでなく、物流や物販などにも使うことを想定したものだ。このe-Paletteは、2021年に開催された東京オリンピックで、選手や大会関係者の輸送に使われた。

トヨタ自動車が2018年1月の「CES 2018」に出展したモビリティサービス専用車両のコンセプト車「e-Palette Concept」(写真:筆者撮影)

この出展が刺激となり、翌年の2019年に開催されたCES 2019には、世界最大の自動車部品メーカーであるボッシュをはじめ、多くの企業がe-Palleteのように5〜6人が同乗する自動運転のサービス車両のコンセプト車を出展した。これらの車両は、量販車種のような大量生産はせず、また地域の交通事情によって要求は異なるため、目的に応じて多様な車種が製造される可能性が高い。例えばオープンソースの自動運転ソフトウエアの開発を手掛けるティアフォーは、車体部品を3Dプリンターで製造した自動運転車を試作した。

ドイツ・ボッシュが2019年1月に開催された「CES 2019」に出展したモビリティサービス用車両のコンセプト車(写真:筆者撮影)

ティアフォーが試作した自動運転車「Milee(マイリー)」。3Dプリンターで車体部品を製造した。シャシーは電動ゴルフカートから流用している(写真:筆者撮影)

開発と製造が分離する

こうしたサービス車両の世界では、「開発・製造分離」という新しいビジネスモデルが普及する可能性がある。これまでの自動車産業では、一般にクルマの企画・開発のプロセスと製造プロセスを一つの企業で担っていた。これは、自動車産業のビジネスモデルが「作って売る」という単純なビジネスモデルだったからだ。しかし、これから登場する自動運転技術やEV、通信技術を組み合わせた新しいモビリティサービスでは、サービスを設計・構築する企業が、そのサービスに適した車両を企画・設計し、その仕様に基づいて、別の企業が車両を製造し、サービス企業に納めるという形態が一般的になるだろう。

実際にその萌芽は出ている。中国のライドシェア最大手の滴滴出行(Didi Chuxing Technology)は、自社のサービスに適したEVの仕様を作成し、中国最大のEVメーカーであるBYDにこの仕様に基づいたEVの製造を依頼した。このEVは自動運転ではないものの、これまで自動車産業というピラミッド構造の頂点に君臨していた完成車メーカーがモビリティサービス企業の“下請け”になるというこれまでにない動きが起きているのは事実だ。

さらに進んで、汎用的なEVのプラットフォームを供給し、このプラットフォーム上に顧客の望むボディをかぶせるという新たなビジネスモデルに参入する動きも相次いでいる。米アップルのiPhoneの製造などを手掛ける世界最大のEMS(Electronics Manufacturing Service)企業の台湾鴻海精密工業は、汎用EVプラットフォーム「MIH」を開発し、このプラットフォームを用いたEVの製造請負事業に参入すると発表した。

こうした汎用EVプラットフォームは、世界最大の自動車部品メーカーであるドイツ・ボッシュも開発しているほか、韓国ヒョンデ・モーター(現代自動車)の子会社であるキア・モータース(起亜自動車)も、米国のベンチャー企業であるキャヌー(Canoo)が開発した汎用EVプラットフォームを活用した企業向けカスタマイズカーの製造事業に参入した。オーストラリアのEVベンチャーであるAEVロボティクスは帝人と共同で、複合材料などを活用して軽量化した汎用自動運転EVプラットフォーム「Blanc Robot※」を開発した。

オーストラリアAEVロボティクスが帝人と共同開発した汎用自動運転EVプラットフォーム「Blanc Robot」。複合材料などを多用して軽量化を図っているのが特徴(写真:帝人)

今後、モビリティサービスや物流などで様々なカスタマイズカー事業が生まれることが見込まれる。こうした分野向けの車両には、大量生産を前提とする鋼板のプレス成形は向かず、より少量多品種生産に向けた新たな部品製造技術や素材が求められる。そこでは、樹脂や複合材料が、量産車よりもはるかに多く使われるようになるだろう。ここで培われた部品製造技術や素材技術が量産車にフィードバックされ、クルマのマルチマテリアル化を促進する推進力になるかもしれない。

(執筆 オートインサイト代表 鶴原吉郎)

※Webサイト内参考情報

クルマ開発の新たな指標「Well to Wheel」脱炭素社会に向けて活発化する関連企業の取り組み

ゼロエミッション都市型新交通システム(Applied EV)(英語動画)

2022.08.31

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