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コラボレーションでイノベーションを起こすには

テイジンのマテリアル技術本部長、トン・デ・ワイヤーが、コラボレーションによるイノベーションと、それがサステナビリティを加速する上でいかに重要かについて語ります。
テイジンは、多くのパートナーとの協業により、さまざまな産業や市場の発展に寄与する、新しくて、エキサイティングな開発を進めています。

その一例が、欧州サステナブル先端技術開発センター(ESTIC)の開設です。テイジンは、このようなオープンなイノベーション文化に学びながら、持続可能な社会の実現に向けたイノベーションとコラボレーションのさらなる発展を目指します。

ESTICは、欧州の研究者とテイジンがコラボレーションし、イノベーションを推し進めることを目的としています。より持続可能な社会のための技術開発において主導的な役割を果たす研究開発施設となることで多くの分野で進歩を遂げることが期待されています。

テイジンも他の企業同様、従来はすべての研究を自社内で行うことを重視し、自前主義が当たり前になっていました。しかし、このテクノロジーセンターでのコラボレーションを契機に、テイジンは新たな方向に向けイノベーションの舵を切ることになりました。

欧州のサステナビリティ研究に参画することは、創立100周年を迎えた2018年時点で、既にテイジンの視野に入っていました。テイジンの次の100年を担う柱は、100周年記念イベント「THINK HUMAN PROJECT」に見て取れます。「THINK HUMAN PROJECT」では、従来の化学の枠にとらわれず、未来のソリューションを創造することを目指し、9つのテーマを特定しました。

トンが率いた「Clean 2 Antarctica (C2A)」は、こうしたテーマの一つで、サステナビリティに焦点をあてています。このプロジェクトでは、オランダの冒険家、エドウィン・テル・ヴェルデ(Edwin A. ter Velde)とパートナーシップを結びました。彼のミッションは、車体はリサイクル材を3Dプリンターで組み立てた“ゼロ廃棄”、動力はソーラー・パワーのみという“ゼロ・エミッション”の特別車両で、南極まで2,400kmを旅しようというものです。

私たちは、そのソーラーカーのタイヤの設計・開発を担当しました。転がり抵抗、摩擦を極力抑え、南極の厳しい気候条件に耐えることが最重要課題でした。これは、クリーンテクノロジーに関する実験であり、コラボレーションのモデルでもあります。

私は “南極に至るまでのプロセス “に興味を持ちました。私のチームはエドウィンの旅に参画することになりました。私は、エドウィンより先にあきらめたり辞めたりしないと約束しなければなりませんでした。成功も、失敗も、何度も経験しました。エドウィンの忍耐力が、私たちを前進させ、あきらめるという選択肢を与えなかったのです……。エドウィンは、「困難な状況を受け入れ、ジャンプする勇気を持ち、行動力と遊び心を持ち、失敗を恐れない」(Embrace Discomfort, Dare to Jump, Be Actionable and Playful, Dare to Fail)という言葉で、イノベーションを起こすためのマインドセットを教えてくれました。

この学びは、トンを刺激し、ESTICでの新しいコラボレーションを生み出すきっかけとなりました。

ヨーロッパのマインドと知識を共有し、ソリューションを開発することで、現地でサステナブルな技術を生み出すことが可能になりました。テイジンは、自分たちの仕事を通して、この分野で信頼されている日本の知識・技術を伝えていきたいと考えています。日本とは仕事の進め方が違うヨーロッパですが、トンが中心となって牽引しています。テイジンは持続可能な社会の実現に向けた事業展開を、今後も積極的に進めていきます。

新しい素材開発を自社だけで完結させようとすると、10〜15年かかるといわれています。しかし、このような技術革新が急がれている状況では、外部の知識や技術協力が不可欠です。

よりサステナブルな世界を実現するために、メーカーに大きな技術的進歩が求められる昨今、コラボレーションによってビジョンが現実のものとなるのです。テイジンは、グローバルなコラボレーションを通じて、革新的な未来への道を切り拓いていきます。日本と欧州が連携することで究極のシナジー効果を発揮し、サステナブルな社会を実現したいと考えています。

帝人グループ執行役員 マテリアル技術本部長 トン・デ・ワイヤー(Ton de Weijer)

 

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